2002年 3月 17日
19日
はじめに、今回は、再演物で、しかも初演は絵麻緒さんのバウホール初主演作と言うことで、
どうなのかなと、やっぱり不安でした。
でも、噂の段階で、「殉情」らしいと聞いて、ありえるなと思ったのも事実です。
お披露目前哨戦なのに、なかなか作品が発表されない。
平行している、「風と共に去りぬ」に、話題は持って行かれています。
年が明けて、漸く動き出して、一気に走りきった公演になったと思います。
観劇された方は、これで良かったのだと、大多数の賛同がいただけると思っています。
さて、私なりに感想を書いていきたいと思います。
殉情における2つの愛の形について…。
この作品は、佐助と春琴の愛のお話しです。
尽くすことに、喜びを感じ己よりも、主人の春琴のために生きることが、
佐助の生きた証だと、思えました。
彼の、春琴への愛は、常人では理解できないほどに、
仕えて、尽くして。そして与えられる物が、痛みであろうと、総て喜びとしていきます。
春琴と同じ物を共有出来るのであれば、彼は何も必要としないほどに、
幼い時に彼女に出逢って以降、何も見えなくなっていたのかも知れません。
そう、究極の愛の形。ひとつの大いなる世界なのですよね。
そして、そんな2人の愛について、学んでいくもう一組のカップルが、マモルとユリコです。
現代のカップルと言う設定にしては、今回の2人は幼い気がします。
でも、そんな2人だからこその、佐助と春琴の話しを聞きながら、
僅かですが成長していくのです。
そう、初演の2人はもう少し大人びていたらしいです。
倦怠期と言うか、結婚するかこのまま付き合っていくかで、すれ違い始めた2人…。
今回は、初めて異性と向き合ってつきあい始めた、そんなイメージです。
そう、マモルもユリコも恋愛初心者って感じでした。
そんな2人にとって、極限まで相手を愛した。その愛の形はどのように心に残っているのでしょうか。
少しずつ人物を追っていきます。
佐助(絵麻緒 ゆうさん)は、すべてにおいて、こいさん命が伝わってきます。
彼は、仕えているのですが、結果として彼が居ないと、春琴は何も出来なかったと、
考えることが出来ます。
よこしまな心が無いからこそ、2人の純愛は成立したし、1つの世界に住むことも出来たのでしょうね。
この、佐助という役は、辛抱役ですが、役者にとってやりようで楽しめる要素を含んでいる、
そんな気もします。
春琴(紺野 まひるさん)は、勝ち気なようで、もの凄く寂しがりで常に不安感を持っている、
そんな人に見えました。
その美貌も、自分では確認することも出来ず、
しかし、周囲からは、もてはやされています。
彼女を支えているもの、それはやはりプライドです。
芸事と、大店の娘であること、そして誰もが絶賛してくれる美貌…。
その中で、誰よりも自分を誉めたたえてくれるのは、佐助だったのでしようね。
無条件で、自分の言葉に従う彼には、目が見えないというコンプレックスを、
逆手に取れる、優越感すら与えてくれる存在だった。
だからこそ、心も体も許したのかも知れません。
マモル(音月 桂)彼は、本当に幼い恋を楽しんでいます。
自分に彼女が出来たことを、毎日の生活の中で楽しんでいます。
でも、石橋先生(風早 優さん)から、話しを聞くうちに、何となく恋でなく愛に目覚めていきます。
人を好きになることより、人を愛することは、どういものなのか、
その事に、向き合っていくのです。
結果は、出ては居ないと思いますがね。(初演の2人は出ていたらしい。)(結果…。)
ユリコ(涼花 リサさん)は、女性として、マモルより最終的には成長しています。
彼女は、愛することの難しさと、素晴らしさに気づいてる筈です。
そして、最後マモルに問いかけます。
「私達これから…。」と、このまま付き合っていけるのか、何時か別れが来るのか。
その不安を、マモルは否定も肯定もしません。
彼にとっては、目の前にいるユリコが、愛する対象なのです。
そう、この先のことは、2人には見えてこない、闇の彼方の事なのでしょう。
フィ〜イ。いつものごとくの、感想の形は取りたいのですが、
作品の芯は、太くて暗いテーマなので、一人一人書いていけませが、
この作品にかかわった人達が、良かったと誇れるものに仕上がったことは、
やっぱり、喜ばしい事なのです。
感想にしては、妙な書き方になりましたが、お許しください。
Megu
|